国際協力 Developing World

協力隊受験・泣き笑い

nanasisan@hotmail.com

 「青年海外協力隊に参加するのが夢だったんです」
 これは、私が今、協力隊の情報が集まりやすい環境にいることもあって、本当によく耳にする言葉である。こういう人たちは、えてして国際協力に対する意欲が強く、リーダーシップのある学級委員タイプが多い。そしてまた、そばにいて暑苦しくなるような情熱家だったりする。…などという偏見は置いといて。

 去年の夏、一人の志望者と知り合った。といっても、たまたま某協力隊関連施設にいた際に、協力隊の過去問やら募集資料やらの収集にきていた場面に居合わせただけである。曲がりなりにもOBの私はその使命を果たすべく、善意から声をかけたわけ。…決して相手が女性だったからではない。奇遇にも、彼女はかつての私の派遣国を希望していたために意気投合し、しばらく話をした。そして彼女もまた、協力隊にかける意気込みの全てを私にぶちまけてきたことは、ここに記すまでもない。

 話を聞いた限りでの私の印象では、彼女は志望職種の実務経験レベルA、健康レベル(たぶん)A、"協力隊資質としての人間性(#1)"もAで、とにかく何をとってもケチのつけようがなかった。まさに協力隊員になるために生まれてきたような逸材ぶり。ぶっちゃけた話、自分がOBだと名乗ったことを恥じたほどだ。協力隊斡旋が仕事ではない私は、その場面で「試験の様子」などよりも、「活動はこうだよ」など派遣後の情報を中心にうんちくを並べ、それでも彼女は丁寧に礼を告げて、その場は別れた。一次試験後に、もう一度彼女に会う機会があったが、過去問(#2)をきちんと押さえていたことが功を奏し、筆記試験は十分な手応えを得たという。ちょっぴり嬉しかった。

 そしていよいよ先週。協力隊業界の一大イベント「秋募集の結果発表」があった。が、そんな大イベントのことなど全然知らない私のもとに、一通のメールが届いた。彼女からだった。内容は、2次試験の結果×だったこと、実力不足を感じていること、そしてもう一度受験してるつもりだというものだった。

 うーん、こういう時って、なんて声をかけたらよいのだろう。そりゃもう、あなたなら大丈夫だの、協力隊終わったらどうするのだの、無責任な言葉を散々に並べて(だって本当に大丈夫だと信じてたもの…)その気にさせてしまっていた後での結果である。適正云々以前に職種によっていわゆる倍率は存在するし、運の要素もあるかもしれない。慰めの言葉をかけるのも変だし、ここはひとつ、次があるさと励ますのが、無難なんだろう、うん、きっとそうだ。私はこう答えた。

 『今回の募集には、あなたに合った配属先がなかっただけではないでしょうか。選考側は実力云々よりも、適材適所の派遣に慎重らしいです。今回はその"適所"に巡りあえなかっただけだと思います。だからその時々での運もあると思います。次こそは"適所"が見つかるといいですね。』

 …誠心誠意答えたつもりだったが、後で読み返すとますます無責任な言葉のオンパレードである。我ながら情けない。なぜこんな返事を?!…と今後悔している。同じような経験のある方、(いるなら)ご意見・お叱りお聞かせ下さい…。それと国際協力マガジンを購読している現役隊員のあなた。参加したくても、できなかった志望者の分まで、どうか頑張って下さい。本当にお願いします。

#1: "選考基準"があるようです。
#2: よく「試験対策はどうしたらよいか」とか「合格のコツを教えて欲しい」など見たり聞いたりします。職種によっては、過去問をやっておけばかなりの部分はカバーできるようなので、募集説明会などで入手すると良いかもしれません。



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